【武田國男】背骨となる精神「誠実さ」
こんにちは。
足立佑介です。
今回は、「武田國男」さんです。
武田薬品工業元社長。
1962年甲南大学経済学部卒、武田薬品に入社。
1993年社長。
2003年会長。
1999年関西経済連合会副会長。
2003年日本経済団体連合会副会長。
2004年日本製薬団体連合会会長。
三男である彼は大学を卒業して武田薬品に入社。
後継ぎである長男は早くから帝王学を学び、副社長にまでなっていました。
彼は傍流の事業部に預けられていました。
しかし、翌年創業200周年を機に社長に昇格し、7代目武田長兵衛を襲名するはずであった長男が46歳で急逝。
父親も長男の後を追うように亡くなってしまいました。
彼は一介の課長でしかなかったが、突然に社長の役職が回ってくるとは夢にも思わなかったそうです。
就任した当時は社内外から「武田はこれで終わりだ」とマスコミにも書きたてられたそうです。
ところが周囲の予想に反し、ローカル企業にとどまるどころか、正解に名を馳せる大企業となったのです。
「グローバルな研究開発型製薬企業」を目指すを合言葉に、本業でない、ビタミン剤、化学、食品、農薬、畜産などの事業は次々に撤収し、本業である医薬品事業に全てを集中させ、次々と改革を断行していきました。
そして危機感が全くない、大企業病が蔓延し業績も停滞してした企業が、様々な制度の導入により、見事に戦う集団に改革しました。
社長在籍10年の間に製薬業界初の売上高1兆円を達成。
累積利益は9057億円。
株価は1350円から4430円まで上がりました。
窓際扱いされアホボンと言われた國男がこれだけの成果を上げられたのか要因は武田家に先祖代々から受継いでいる「クスリの哲学」があったことではないかと思います。
第5代武田長兵衛が定めた5ヶ条の社是が「クスリの哲学」と言われるものです。
一 公にひ国に奉ずるを第一義とすること
一 相和らぎ力を協せ互いにさからはざること
一 深く研鑽につとめその業に倦まざること
一 質実を尚び虚飾を慎むこと
一 礼節を守り謙譲を持すること
今の言葉でいえば、「くすりを通じての社会貢献」「切磋琢磨」「本業に徹する」それから「質実」や「礼節・謙譲」ということになります。
そして父親や祖父が「運根鈍」「行不由」「陰徳陽報」という言葉を良く書いていたようで、
要約すると、コツコツと努力すれば必ず報われるという意味になります。
それをわかりやすくしようと、いろいろ考えた結果一番わかりやすい言葉が「誠実」という言葉になります。
武田が絶対に守り続けなければいけないクスリの哲学は「誠実さ」。
武田が200年以上存在できたのも、
「世の中の人々のためになるより良いくすり、画期的な新製品を世界に送り出すこと」
を誠実に取り組んだことにあります。
この揺るがない背骨となる精神があったからこそ、大企業病に侵されていた武田薬品を大改革で立て直すことができたのではないでしょうか。